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電力需要が原発再稼働の理由ではない [市場・運用]

先週は、日本に居なかったので実感はしてないのですが、私の母校のある熊谷では、早くも30度越えを記録したそうで、夏ももうすぐです。

夏の電力需要のピークを前に、関西電力管内における電力不足から、原子力発電所の再稼働が主張されています。しかし、お粗末な事に4月23日に「16.3%の不足」と言っていたものが、その積算根拠の矛盾やいい加減さを指摘される度に「下方修正」をしています。

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「原発推進派」なる人達が居て、何としても原発を再開したいから無理矢理電力不足を演出している、という印象を受けますが、実のところ関西電力にとっては、そういう哲学論争では無く、何が何でも再開しないと困る理由が財務諸表から透けて見えます。

よく言われているのが、原子力は安価で、化石燃料が高価なため原子力を再開させないと、燃料費分だけ電力会社の収益を圧迫するというモノです。経産省の試算では、電力会社全体で7兆円近い負担増、関電では7000億円を超えるコスト増になると説明しています。

(ご興味があれば経産省のサイトをご覧ください)
http://www.npu.go.jp/policy/policy09/pdf/20120507/shiryo3.pdf

電力需給だけを見ると、そんなに切羽詰っているようにも見えません。関西電力の去年の原発を除くピーク時発電能力は、2610万KWHです。一方、去年の猛暑下での最大需要は2784KWH。関西電力管内は、関東と違い、昨年は節電をしていませんでした。節電をしたうえで、発電能力に余裕のある周囲の電力会社からの融通があれば、十分に賄えそうな水準です。

実を言うと、これが、関電にとって、更に困った問題なのです。

企業会計では、不要な設備は「減損処理」と言って、「最早、資産としての価値が無いのだから、資産から落としなさい。落とした分は損として計上しなさい」といことになっています。もしも、原発を使わなくても未来永劫電力が賄えるという事になり、原発の再稼働が行われないと、原子力発電設備全体と、貯蔵している核燃料合計を、全額では無いにしても減損処理するように監査法人から指摘される可能性が高くなります。こうなると、兆単位の金額の損が出て、債務超過→倒産の危機が目の前に迫ってきます。

そうなっては困るので、仕切りと「電力需要を満たせないから再稼働!」と言い続けているのだと思われます。原発が不要になり減損処理→債務超過の流れは、関電に限らずどこの電力会社も同じなので、どうしても「原発推進」をせざるを得ないのが実情のようです。

電力株の復権は難しいと思われます。


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