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クラッシュ、それでも人生は続く・・ [市場・運用]

日経平均が8200円、ダウが8500ドル台になりました。9月18日に「市場から距離を置こう」とコメントしたときの日経平均が11700円程度でしたから、3週間で30%の下落でした。まさかこんなに早いと思っていませんでした。理論的な株価はもう関係なく、何しろ手元の現金を増やしておきたい、という恐怖心理に拍車がかかった3週間でした。

そろそろ買ってもいいのでは、という声・質問も聞こえてきます。確かに短期間のリバウンドはあるかもしれません。今回の下落のスピードの速さは、市場の恐怖感やパニックのなせる業だと思いますが、下落の幅自体は、それだけでの理由でこれだけ下げたのでは無いと思っています。

視線がマーケットに釘付けになっていたこの半年間で、随分と世界景気の低迷が顕在化してきました。米国の失業率や求人の突然の悪化、日本の貿易赤字化、中国経済のスローダウン、ロシアの政治リスクの顕在化・孤立化。つい1年ちょっと前まで、6%近かった世界経済の成長率が、いまや3%、恐らくもっと減速すると思われます。市場は世界景気の悪化事態を織り込み始めています。これまで市場が前提としていた企業収益からは、今の下落した水準は、割安に見えますが、例えば2年連続20%減益するとしたら、まだまだ割安とは言えない可能性もあります。

経済の減速に対しては、金融を刺激してお金の回転を良くすること(=金融緩和)が、教科書的な処方箋です。しかし、銀行同士がお互いを怖がって、全くお金を融通しなくなってしまっています。日銀を始めとする各国の中央銀行が、仲立ちをしてやっと細々と短期市場が呼吸を止めずに喘いでいる状態。これでは、金融面での景気刺激は無理です。景気後退が深く長いものになる可能性が高いということです。

こういう事態の時にしなければならないことは明確で、まず、銀行同士の疑心暗鬼を取り除くために、銀行の資本力を強化すること、すなわち公的資金を強制的に注入すること、そして、各国が景気刺激策、この場合減税ではなくて公共事業を行うことです。(減税しても、今の消費者マインドでは、全く消費には回りません。国が代理にお金を使うしかないのです。)

今週末、G7会合がありますが、私ですら判るこんな単純な理屈は、彼らも百も承知だと思います。では、具体的な政策が表明されるでしょうか?

残念ながら、これも、かなりの困難が伴うと思います。なぜならば、かれらの母国の選挙民達はみんな、私企業(=金融機関)に税金が回ることを、嫌悪するからです。90年代の日本で次々と証券・生保・銀行が破綻したときもそうでしたし、今の欧米の状況も同様です。ポールソンの苦悩は世界中の金融当局者の苦悩です。

更に、新聞を読んでいると、悲しくなるくらい新聞記者は今何が起こっているのかを理解していないことに気づきます。何故、株価が下がってるのか、何故、日銀が流動性を供給しつづけなければならないのか、最悪の事態を避けるためには、金融機関の税による健全化が何より大事だ、と読者に訴求している記事は見かけることがありません。

この民主主義の現状で、各国首脳が集まっても、具体的な政策を声高に唱えるは、難しいことだと思います。

混乱はまだまだ続きそうです。落ちてくるナイフを掴もうとしないことです。


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