屋久島・縄文杉 [スポーツ]
遅ればせの夏休みを取り、屋久島に行ってきました。目当ては縄文杉トレッキングです。台風の影響で屋久島への着陸が危ぶまれ、「鹿児島に引き返すこともあります」と言われていたのですが、無事に9月2日(土)に屋久島に上陸出来ました。
9月3日(日)、午前4時30分にツアーガイドがホテルに迎えに来てくれます。ホテルの推奨もあって、屋久島メッセンジャーさんhttp://yakushima-messenger.com/にお願いしました。ホテルから、ガイドさんの車で、宮之浦まで連れて行ってもらいます。宮之浦でバスに乗り換え(片道1700円)、午前5時発のバスで荒川登山口に移動します。登山口までの所要時間は約40分。3月から11月の間、登山口までの自家用車の乗換が制限されてます。
荒川登山口の時点でまだ6時前で、当たりは暗いですが、すでに人が多く、女子トイレは多少行列するほどです。
【荒川登山口の休憩所】
【荒川登山口】
ここから「トロッコ道」が始まります。昭和の半ばまで切り出した杉の木の運搬や、地元の人の足として活躍していたトロッコの線路を歩きます。
【トロッコ道と鉄橋】
こういう道がまず延々と8.5km続きます。鉄橋の中には手すりの無い所もあり、下を向くとこんな感じの所↓もあり、気をつけて渡ります。
トロッコ道は、枕木を踏みながら行くのですが、最初の45分を過ぎると枕木の上に木道が貼ってあって、歩きやすくなります。45分歩いた所で、トロッコ道が二つに分かれる所に来ます。
コースはここを右ですが、左のコースを入った所に、山神様を祭ってある神社があります。ここでトレッキングの無事をお祈りしてから、元のコースに戻ります。
元のコースに戻り、橋を一つ渡ると「小杉谷集落跡地」に到着です。
【小杉谷の前の橋】
【小杉谷の説明】
【学校の校門の跡】
昭和40年の中ごろまでは人の住んでいた地域で、多い時には500人も居たそうです。今は、休憩用の茅葺きのあずま屋があるだけです。ここまで来たら最初の休憩です。休憩したらまたトロッコ道を歩きます。
小杉谷集落から30分ほど歩いた所で、トイレがあります。バイオトイレで、バクテリアを使って、し尿の分解をしているのですが、人が多いため、キャパシティを超えていて、どうしてもし尿を運搬して下に降ろす必要があるそうです。この協力金として、帰りのバスに乗る前に500円の協力金(募金)を求められます。
【バイオトイレ】
ここを越えた所で「三代杉」という杉があります。言われないとわからないのですが、倒木(一代目)の上に生えた杉(二代目)を伐採した切り株の上に杉の大木(三代目)が生えているというものです 。最初の倒木は有に1000年以上前のモノなのに、今でも原型を留めている所が「屋久杉」の保存性の高さ(腐りにくさ)の証明のようです。
【三代杉】
ここまでで、トロッコ道の約半分、4.5km程度です。休憩を入れて一時間半程度。まだまだです。
屋久杉と呼んで良いのは樹齢1000年を越えたものだけだそうです。樹齢鑑定自体は、これといった決め手は無くて概ね周囲の長さで決めるしかないようですが。コース上で最初の「名前の着いた」屋久杉が、「仁王杉」です。
【仁王杉(阿形)】
なぜ「阿形」かと言うと、もともと近くにあった本来の仁王杉が倒れたため、先代を「雲形」とし新たにこの杉↑に「仁王杉」を襲名させたからだそうです。仁王杉から20分ほどで、やっとトロッコ道の終点になります。ここまでで、休憩時間もいれて3時間程度です。
【トロッコ道終点】
【トイレ】
ここから本格的な登山道が始まるのですが、トイレ休憩をしたり、水を補給したりできます。屋久島の良い点は、水場が数多く、長時間歩く割には、大量の水を持ち歩く必要が無いことです。500ml程度のペットボトル一本で頻繁に補給すれば十分です。「水筒不要」などと言う人もいますが、真に受けないように(笑)。
「大株歩道入口」というサインから、登山道に入ります。ここからいよいよ縄文杉まで二時間の山道です。ここの標高が900mで縄文杉が1300mなので、標高差は400m程度。登山としては初心者コースと言ってもいいでしょうが、その前後に17kmのトロッコ道を歩かなければならないのが、普通の登山との違いです。
【登山道】
見逃してしまうのですが、この入り口から縄文杉までの道のりに1から50までの黄色い札が設置されています。
【1番の札】
登山道は最初に3か所比較的勾配の急な斜面が続きますが、ほとんどが木製の階段に整備してあります。ただ登ればいい感じ。
最初に出てくる有名な杉が「翁杉」です。ただ、名前が悪かったのでしょうか、昨年、静かに倒れたそうです。
【翁杉】
登山口から30分程度で「ウィルソン株」に到着です。大正時代に屋久島に調査に来た米国の植物学者Henry Wilsonにちなんで名付けられたんだそうです。「株」ですから、切り株が残っているだけですが、周囲は縄文杉に匹敵し、14mだそうです。16世紀に豊臣秀吉の大阪城築城の材料として切り出されたと言われています。
【ウィルソン株】
この切り株は中に入ることが出来て、中から切り株の上を向いて写真を撮ると、ハート形に映るのが有名です。Wilson Heartと呼ばれています。私も行列してやってみました。ハートに見えるでしょうか(笑)・・。
ウィルソン株から30分行くと、大王杉です。縄文杉が発見されるまで、最大の屋久杉だった杉です。
【大王杉】
ここを越えると世界遺産のエリアに入ります。
屋久島全体が世界遺産に指定されているのではなくて、島の面積の約4分の1程度が指定されているのだそうです。そうでないと畑一つ掘れないですよね。世界遺産エリアに入ってすぐにあるのが、夫婦杉です。
【夫婦杉】
すみません。写真に写っているのは夫婦の夫の方だけです(笑)。ここからシャラの木が変形して色んなものに見える木が出てきます。まぁ、「言われてみれば」という感じではあるのですけど、登りに飽きてきた登山者を一瞬、和ませてくれます(笑)。
【竜?】
【ゾウ?】
【トンネル】
ここまで来ると、縄文杉はすぐそこです。縄文杉に登る階段が見えてきます。
【最後の階段】
ここを登りきるといよいよ縄文杉にご対面です。
【縄文杉】
「大王杉より大きな杉」があるという言い伝えは以前からあり、それを、役場の職員の岩川貞次氏が7年かけて1966年に見つけたのだそうです。最初は岩川氏の岩を取って「大岩杉」と呼ばれたのですが、縄文時代から生えているということで、新聞記事が紹介してから縄文杉と呼ばれるようになったそうです。樹齢は最低でも2700年、周囲の大きさから単純に推測して7000年という説まであるのだそうです。周囲は16.1m。
6時に歩き始めてここで11時半。5時間半の道のりでした。ここで、お弁当にして、帰路に着いたのが12時で、元の荒川登山口にたどりついたのが16時40分でした。その間、島の平野部はずっとピーカンの晴れだったのに、登山の半分は雨でした。屋久島の山中は雨が絶えないので、靴とウェア、雨具の性能にはこだわった方がいいと思います。何しろ10時間歩き続けでしたから。
登山家先生 [スポーツ]
今週は夏休みで八ヶ岳で過ごしています。川北先生が、「トレーニング」と称して遊びに来てくださいました。朝6時過ぎに、杣添尾根の登山口を二人で登り始めましたが、有名な登山家でもある先生の背中はあっという間に見えなくなりました。
2時間半かけて、自分としてはこれまでの最短記録で稜線に出た所で、早くも横岳から「いい天気だねぇ」と言いながら下山して来た先生とすれ違いました。「もう一往復してくる」と言ってさっさと下山していきました。唖然・・。
思いのほか私も元気でしたので、思い切って赤岳を目指しました。稜線を南に下るだけなのですが、300m程度のアップダウンと、結構あちこちに鎖場だの梯子だのがあるルートなので簡単ではありません。
【横岳から赤岳を望む】
横岳から赤岳の山頂までは、1時間少し。ちょっと厳しい登りがあると、空気が薄くて呼吸と心臓に結構来ます。
【赤岳頂上】
往復3時間近くかけて、横岳と赤岳を往復し、おにぎりを口にして一休みして、さあ帰ろう、と山を下り始めて30分くらいの所で、先生の二度目の登山とすれ違いました。「さすがに少しキツイ」と言ってましたが、そりゃそうでしょう。
自分自身、日帰りでこれだけ歩いたのは初めてで、先に山荘に戻りシャワーを浴びて休んでいたら、30分くらいの時間差で戻ってこられました。2800mを超える山を「トレーニング」と称して一日に二度も登る人を観ることは滅多にないことだと思います。しかも私よりも10歳も上・・・。
その後はビールで乾杯。私は7時半にお先に就寝させていただきました。
高嶺の花(八ヶ岳・横岳登山) [スポーツ]
土曜日、朝起きたら好天で、地元ケーブルテレビの予報を見ても、一点の曇りもなかったので、意を決して単独日帰り登山に挑戦してきました。本来午前7時には登り始めるべきところを10時ごろの出発でしたが・・。
【登山口入り口から見た横岳】
この辺で朝の10時。元気・意気揚々です。ちょっと歩いたら、もう山を下ってくる女性の二人組みに遭遇しました。今頃登り始めることに何だか後ろめたさを感じます。この登山道は、ほとんどが林の中の岩や倒木だらけの急峻な道をただヒタスラ登る「バカ尾根」と呼ばれる道です。ほとんど修行のような状態でした。
(ずっとこんな感じで景色は見えません)
半分くらい過ぎたところで「枯れ木帯」というところがあって、一種異様な景色です。ここから先は結構残雪があって、気をつけて上らないと転びます。下りではアイゼンを持っていかなかったせいか、随分と転びました(笑)。
【こういう残雪の斜面が後半はほとんどでした】
尾根の北側斜面の残雪帯を抜けると、突然森林が終わって低木のハイマツが生い茂る高山帯に入ります。ここまで来ると(極めて険しいのですが)頂上まで30分くらいです。
【ハイマツ帯から頂上を臨む】
横岳の頂上に着くと、右(北)に硫黄岳、左(南)に最高峰赤岳と阿弥陀岳が望めます。
【赤岳と阿弥陀岳】
2800mを超える山をぶっつけ本番で上るのはかなりしんどかったです。4時間かかりました。でも、頂上ではココでしか見ることの出来ない、可憐な高嶺の花たちが出迎えてくれました。
【オヤマノエンドウ】
お昼は、ジェットボイルでお湯を沸かし、カップラーメン。塩分を必要としている体に調度良い塩加減!
このために頑張って登ってきたともいえる、「ツクモグサ」の花です。
ガクが細かい毛に覆われていて、寒くなると花が閉じて、自らを寒さから守ります。この日は好天でしたので、大きく美しく開いていました。山頂の岩場の崖っぷちに咲いている可憐な花です。
【ツクモグサと阿弥陀岳】
4時間かけて登り、頂上で40分程休んだり遊んだあと下山しました。もう少し体力と時間があれば、足を伸ばしても良かったのですが、未経験な日帰り単独登山なので、早めに下山しました。
もちろん、登りの方がエネルギーの消耗は激しくて、心肺機能を酷使するのですが、下りは、普段使わない足の使い方をするので、かなり厳しかったです。行程の大半で、アタマの中をずっと、中島みゆきの「重き荷を負いて」が流れていました(笑)。2時間10分かかりました。降りてきてすぐには「もう二度と行かない」と思っていたのですが、また行きたくてうずうずしているのが山の不思議なところです。
「重き荷を負いて」
足元の石くれをよけるのが精一杯
道を選ぶ余裕も無く 自分を選ぶ余裕も無く
目にしみる汗の粒をぬぐうのが精一杯
風を聞く余裕もなく 人を聞く余裕もなく
まだ空は見えないか まだ星は見えないか
ふり仰ぎ ふり仰ぎ その都度コケながら
重き荷を負いて 坂道を登りゆく者ひとつ
重き荷も坂も 他人には何一つ見えはしない
まだ空は見えないか まだ星は見えないか
這い上がれ 這い上がれと自分を呼びながら 呼びながら