SSブログ

浪速割烹「喜川」【大阪・和食】 [食べる]

義母が大阪市内で一人住まいをしている。年末年始は長男である都合上、伊勢崎の実家に帰省するのだが、年が明けたら、可能な限り大阪に行くようにしている。何しろ、極端な出不精な人で、いくら誘っても東京には出てこない(笑)。 

今回でまだ二度目だが、義母を誘って、法善寺横町へ出かける。浪速の名店「喜川」である。当地で開店して40年。大阪の食いしん坊なら誰でも知っている「あまから手帖」で見つけ、以前から一度は行って見たいと思っていたのが叶ったのが昨年の夏でした。今回も15000円のコース。

 今回は1月ということもあり、先付けは数の子、ごまめ、黒豆、海老、などの御節料理が少しずつ綺麗に並べられたものから始まりました。造りは鯛、マグロ(大阪では珍しい)に平目。刺身なのに口に入れた瞬間何故かふわっとした感触。しかし歯ごたえはむちっとして鮮度の良さと包丁の切れを否が応でも感じさせます。椀物、煮物、焼き物・・と続くのですが、奇を衒った創作料理ではないのですが、ピュアな京料理よりは色々と仕事と工夫がしてあり、「へぇー」とうならされること仕切りでした。 

店内は、ど真ん中に2代目の上野さんが花板として立ちっぱなし。しかし、料理場とカウンターの間に女将と仲居さんが動き回れる空間があり、極めて心地よいタイミングで、サービスが施されます。料理人は料理に専念、仲居がサービスに専念、です。 後は、量的にもしっかりしていて、ご飯モノの前で「おなか一杯に近づいている」感じになるのですが、ちゃんとデザートと甘味までフィニッシュさせられてしまう、量です。後期高齢者の義母も一皿残さず平らげておりました。

 ここまで楽しませてくれる和食の店は、東京にはまだ見つけておりません。

 浪速割烹 喜川(きがわ)
06-6211-3030
大阪市中央区道頓堀1-7-7

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:グルメ・料理

ひつじの新町や【門前仲町・羊焼肉】 [食べる]

この滅多に更新しない私の日記の熱心な読者様に誘われて、行って来ました。今回で3度目でしょうか。

「ひつじの焼肉」と言うと、かなりの確率で「ひつじはちょっと・・」という反応が見られるのではないでしょうか。私の場合、子供のころ「焼肉」といえばラムやマトンを意味するような清貧な環境で育ったので、何の抵抗も無かったのですが、それにしても、良い意味で、全然ひつじを感じさせない焼肉です。

カウンターにたった一人ご主人が切り盛りしているお店です。一日に何回転もすると、「しこみが辛い」とのことで、予約で一杯になるとすぐ店先に「閉店」の看板が出てしまいます。

お肉は、ご主人が自分でさばき、部位別に並べて、細かく焼き方を教えてくださいます。教えると言うよりも、指示すると言った方が正確かもしれません(笑)。食べる順番にも細かい配慮が必要です。赤身から脂身まできれいにお皿に並べてあります。確かに、さっぱりした部分を先に食べ、こってりした部位は後から・・というのは理に適ってはいるのですが。

脂身、と言うと口の中がギトギトしそうなのですが、元々の羊の品質が高く、また保存や調理にかなり気を使っているためか、牛や豚の脂身とは全く違う上品なモノです。したがって、しつこく焼いて油脂分を落として食べるのではなく、油が溶け始めて、火がパチパチと回った辺りが食べごろのようでした。

数種類の羊肉一皿が、メニューには1人前900円と牛であれば考えられないような値段が書いてあるのですが、一人1.5人前プラスワイン漬け(これもおいしい!)と煮込み(ご飯にかけて食べます)合わせて3000円くらいの感じでしょうか。野菜はキャベツ、ナス、トマト、しいたけなどが適当に盛ってあって、一人300円だそうです。

「焼肉」というと、韓国料理の焼肉屋さんでがっつり、という感覚がありますが、ここは、一枚一枚ユックリ焼きながらおしゃべりをしてシミジミと食べる、という少し枯れたイメージのお店です。他の客はビール一本飲みながら、一人焼肉をしているサラリーマンもいらっしゃいました。牛肉に比べるとかなりヘルシーな感じなので、女性同士なども良いかもしれません。

ひつじの新町や
03-3643-5433
江東区古石場1-2-1 新村ビル1F

 


nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:グルメ・料理

2009年、相場見通し [市場・運用]

明けましておめでとうございます。今日の大発会は随分と上昇して終わりました。今年の市場、特に日本株の相場観について纏めておきたいと思います。

  1. PERで見た現在の株価の位置
    昨年10月に急落した時のPER(株価収益率)は一瞬でしたが10倍を切りました。それまでの2、3年間概ね13倍~20倍の間で推移していましたので、かなり割安になったと感じた向きもあったかと思います。しかし、PERは株価が上がらなくても、企業収益が減少すると、上昇(=割高になる)してしまいます。12月末の状態で、PERは既に15倍を超えています。新興国市場が8倍程度、世界株全体で10倍程度であることと比較して、割安感はありません。しかも、日銀の統計では、2009年3月期の税引き後利益こそ、20%の減益になっていますが、売上はまだ3%の増収を見込んでいます。12月に発表された鉱工業生産が、前年比16%のマイナスだったことを考えると、売上は10%程度の減収になると予想され、PER15倍の前提になっている企業の収益見通しがまだ甘い計算になっていると言わざるを得ません。仮に2009年3月期に30%の減益を見込むとすると、日経平均で9000円という株価水準は、PERで18倍近い水準になります。ここから先の上値は限られていると見たほうが安全だと思います。
  2. 2010年3月期、増益するのか?
    もしも、現在の株価水準を正当化できる何かがあるとすると、市場が、2010年3月期の増益を織り込みに行っている、という理由しかありません。しかし、米国の住宅市場や雇用環境を見るところ、1年程度で景気が底入れをして上昇基調になる兆しは全くありません。むしろ、金融不安はある程度落ち着いたものの、景気の低迷はその端緒についたばかりと考えた方が良いと思われます。これに対して、企業は、なりふり構わない合理化・コストカットで対応を開始していますが、これが却って消費者の心理を凍りつかせており、国内外の消費の低迷を招くという悪い循環に陥っています。生産を20%も減少させたのに、まだ在庫が増えている状況が如実に物語っています。この在庫が減少に転じ、生産が増加に転じ、雇用と消費にある程度の明るさが戻ってくるまでにはまだ時間がかかると思います。今年の前半は、アメリカの新大統領の就任に対する期待感や、大型の財政出動などで一息つく場面もあると思いますが、そうした効果が出尽くした秋以降、また経済と市場が下向きになる可能性が高いと思います。加えて、米国における巨額の財政出動は、国債の増発に頼らざるを得ず、ドル・円の為替レートはどうしても円高傾向の圧力が続くと考えます。輸出産業にとっては、さらに厳しい環境が続くと予想します。今年の3月期の決算で30%の減益、2010年の3月期で更に20%の減益を織り込むとすると、株価はPER14倍で日経平均5500円程度、PER20倍で7900円程度のレンジになります。4-5月に新年度入りして、決算発表時の年度見通しで弱気な数字が並ぶ時期には、株価への下押しの圧力がかかる可能性が高いと考えます。日経平均で6000円以下の水準も覚悟しておいた方がいいでしょう。
  3. ではいつ買えばいいのか
    日本で90年にバブルが崩壊してから、18年が経過しますが、未だに長期的な往来相場が続いています。今回の景気後退の構造的な深刻さを考えるならば、こうした往来相場がある程度長期にわたって続くことを覚悟しておいた方が良いかも知れません。しかし、一方で、世界に60億人の人口がある以上、モノが何も売れなくなる、ということはありません。自動車にしても買い替えを1-2年我慢できたとしても5年も我慢することはできません。必ず、不況の後には景気の回復局面・増益局面が来るはずです。この観点からは、今年は絶好の投資チャンスだと捉えるべきだと思います。日経平均で6000円程度に差し掛かったら、投資のタイミングと考え、2-3年のタイムホライズンで仕込んではどうでしょうか。10年単位の長期投資には向かないと思いますが、取り合えず、2-3年程度の中期投資のタイミングは今年やってくると思います。

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:

本二冊 [本・映画]

仕事でロンドンに来ています。

来る途中の飛行機の中で本を二冊読みました。一つが五木寛之の最新刊「人間の覚悟」、もう一冊がロンダバーン「ザ・シークレット」。悲観と楽観の両極端みたいな話ですが、両方世相を反映していると思います。

「人間の覚悟」は五木寛之の歴史観と観察眼から、国家としての日本や資本主義社会がは既に数十年という長い期間にわたるであろう下降局面を迎えつつあると見ています。この下落局面を人生の終盤を迎えつつある著者の人生と重ね合わせて、「覚悟して向き合えば決して悪いものでもない」と論じています。 

「ザ・シークレット」はいわゆる「引き寄せの法則」について初心者向けに書かれた本で、ルーツは「思考は現実化する」といった成功本とスピリチュアルを融合させた内容です。「こういうことが起こって欲しくない」と念じると「こういうこと」が起こってしまうので、「こうなって欲しい」とイメージしながら念じ続けるとその状態を「引き寄せる」ことが出来る、という内容です。 

ロンドンも不景気です。人と話すとリストラや、賃下げなど冴えない話ばかりが耳に入ります。自分の会社にしても、半年前と何も変っていない、むしろビジネスは上手く行っているのに、株価はかなり不安定です。今、経済や金融市場に起こりつつあることは、五木氏が指摘するように、数十年にわたる、資本主義社会の下降局面なのかも知れません。確かにそういう要素もあります。 

一方、「シークレット」的な見方をすると、不景気の「気」はあくまで気持ちの気であり、人々の悪い想像や「こうなって欲しくない」という念が世界的に現実化して、今の事態を招いていると説明できるかもしれません。確かに、リーマンショックの翌日から東京のタクシーの売上が目に見えて下がっているらしく、これはロジカルな説明は難しい現象だと思います。また、逆の見方をすれば、困難な現状に何がしかの光明を見出したい世相が、この本をベストセラーに押し上げているとも言えそうです。

 夕べ、ロンドンの米系運用会社のファンドマネジャーから、日系の運用会社のトレーダーに転職した20年来の友人とパブでぬるいビールを飲みながら話しました(何故かイギリスのビールは室温でぬるい・・)。彼はファンドマネジャーとして優秀だったのですが、日本に転勤を命じられて、家庭の事情でロンドンに残るために止む無く転職しました。大幅なベースダウンに見舞われながらも、結構明るく喋っていました。一般的に、一度上げた生活レベルは下げられない、などといいますが、彼を見ると、必ずしも真実では無いと思わせられました。

「収入の3分の一が、子供の教育費にかかっちゃいますよ~」と一人息子を有名なパブリックスクールに通わせていることが、彼の人生の支えの一つになっているようで、ある種の爽快感を覚えました。 彼の子供が通う有名パブリックスクールのPTA達も以前は、夫の収入を暗に自慢するSnobbishな奥様達が多かったのが、ここに来て不遇をかこっている人たちも増えてきているようで、謙虚な人たちが増えて逆に以前より付き合いやすくなった、と不景気の効用のようなことを言っていたのが面白かったです。 

企業や経済は、「成長」というものが当たり前のようにビルトインされています。日本の経済もたった半年間マイナス成長するだけで大騒ぎ。多くの企業も、収益が減っただけで大騒ぎです。赤字じゃなくて減収しているだけなのに。人間の方は、このロンドンの友人やPTA達もそうだけど、収入の範囲内で生活することで、何とか生活を適応させることが出来るようです。私自身の失業経験からも、数ヶ月の無収入の状況は、今思えば、それほど深刻なものではありませんでした。

騒いでいるのは、マスコミや官僚のような失業経験も無ければ、収入減の経験も無い人達がパニック的に騒いでいるような気もします。心のどこかで、資本主義の成熟や老化を意識しながらも、ネガティブなイメージを避けるように、悲観的なニュースフローからは当面を距離を置いた方が良いと思いました。


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:

転職後1年 [ビジネス]

一ヶ月アップを怠ると、あちこちから「サボってる」とのご指摘を受けます。名古屋のジーヤ様、私のブログ「浮世離れしてる」ってどういうことですか?広辞苑には

 うきよ-ばなれ【浮世離れ】 世間の常識からかけ離れた言動をすること

とあるのですが・・・そんなに世間の常識を逸脱しているでしょうか(笑)?

さて、去年の秋、今の会社に来てから早くも1年が経ちました。去年の今ごろは、生まれて始めての雇われマダム業に、手探りをしたり人の話を聞いたり、データを収集したりしながら、どうやってこの会社を立ち上げるかに思いをめぐらしていたのを思い出します。一旦方向性が決まったあとは、本社のマネジメントに説明し支援を訴え、ヒトやシステムを用意し、事務を立上げ、ターゲットを絞って営業を行い、プロダクトを準備し・ストーリーを作り・・とただ目の前の課題を一つ一つこなすだけの1年だったなぁと振り返っています。

このブログを書き始めたのが6月で最初の記事で「社運を左右するようなプレゼンがありまして・・」などと書いていますが、このプレゼンは、その後3回戦まであり、最後は米国本社でのプレゼンを行い、見事に採用になりました。本当にやるのか?という社内外の「懐疑の目」が「期待の目」に変り、「応援の声」となって最後は文字通り熱狂で祝福されるようなプロセスでした。多くの人たちの主体的なサポートを受けながら、僅か10名の会社が、自分達なりに成し遂げたことのに対して、とりあえずこの一年は満足行く結果だったなぁ、と思っています。Yes, we can!と言う熱狂に包まれたバラク・オバマ次期大統領の演説に、何となく私も込み上げるものを感じるのは、達成したことの大小は別にして、ある種の共感を感じることが出来たからだと思います。

しかし、チャーチルの言葉を借りれば、この一年は"This is just the end of the begining."であることには間違いありません。目の前に明確に迫っている世界同時不況、更に不安定さをますであろう市場の中にあって、資産運用業界に身を置きながら、どっちの方角を向いて何を頑張ればいいのか考え込むことも多いです。

幸いなことに当社は、数名の増員・採用を予定しており、多くの人たちと面接をするのですが、面接に来る人たちの話は日を追うごとに厳しさを増しています。「午後一番に呼ばれていきなり退職金を提示され、その日の夕方に私物をまとめて出てきた」「昨年最高ランクの人事考課を受け、今年もチーム内で2番目の成績を上げているのに何故か自分が退職の対象になった・・」といった体験談を聞くことが増えています。

友人のヘッドハンターも「当面、金融・資産運用業界は仕事にならないので、最近は医薬品業界を回ってます」と笑いながら言ってます。

お客様のところに行っても、全くプロダクトやビジネスの話にならず、市場や経済の暗い見通しの話に終始してしまいます。火事が市中に広がりはじめているのに、家具を売ろうとしているような気分です。

こういう時は基本に返って、足元の仕事をしっかりとこなしながら、少し先を見つめてどんな会社にしたいのかを考える好機だと思っています。商品、収益、ビジネスモデル、といった経営学ではなくて、会社の雰囲気、外見、企業文化、共有する価値観・・といった少し青臭いことを考えてみたいと思っています。「あの会社に入りたい」と人々が思い、「あの会社と付き合いたい」とお客様が思ってくれるような会社は何を具現すればいいのか・・。日々の仕事に追われながらも、転職後の2年目はそういうことを考えながら過ごしたいと思っています。

 

 

 


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事

クラッシュ、それでも人生は続く・・ [市場・運用]

日経平均が8200円、ダウが8500ドル台になりました。9月18日に「市場から距離を置こう」とコメントしたときの日経平均が11700円程度でしたから、3週間で30%の下落でした。まさかこんなに早いと思っていませんでした。理論的な株価はもう関係なく、何しろ手元の現金を増やしておきたい、という恐怖心理に拍車がかかった3週間でした。

そろそろ買ってもいいのでは、という声・質問も聞こえてきます。確かに短期間のリバウンドはあるかもしれません。今回の下落のスピードの速さは、市場の恐怖感やパニックのなせる業だと思いますが、下落の幅自体は、それだけでの理由でこれだけ下げたのでは無いと思っています。

視線がマーケットに釘付けになっていたこの半年間で、随分と世界景気の低迷が顕在化してきました。米国の失業率や求人の突然の悪化、日本の貿易赤字化、中国経済のスローダウン、ロシアの政治リスクの顕在化・孤立化。つい1年ちょっと前まで、6%近かった世界経済の成長率が、いまや3%、恐らくもっと減速すると思われます。市場は世界景気の悪化事態を織り込み始めています。これまで市場が前提としていた企業収益からは、今の下落した水準は、割安に見えますが、例えば2年連続20%減益するとしたら、まだまだ割安とは言えない可能性もあります。

経済の減速に対しては、金融を刺激してお金の回転を良くすること(=金融緩和)が、教科書的な処方箋です。しかし、銀行同士がお互いを怖がって、全くお金を融通しなくなってしまっています。日銀を始めとする各国の中央銀行が、仲立ちをしてやっと細々と短期市場が呼吸を止めずに喘いでいる状態。これでは、金融面での景気刺激は無理です。景気後退が深く長いものになる可能性が高いということです。

こういう事態の時にしなければならないことは明確で、まず、銀行同士の疑心暗鬼を取り除くために、銀行の資本力を強化すること、すなわち公的資金を強制的に注入すること、そして、各国が景気刺激策、この場合減税ではなくて公共事業を行うことです。(減税しても、今の消費者マインドでは、全く消費には回りません。国が代理にお金を使うしかないのです。)

今週末、G7会合がありますが、私ですら判るこんな単純な理屈は、彼らも百も承知だと思います。では、具体的な政策が表明されるでしょうか?

残念ながら、これも、かなりの困難が伴うと思います。なぜならば、かれらの母国の選挙民達はみんな、私企業(=金融機関)に税金が回ることを、嫌悪するからです。90年代の日本で次々と証券・生保・銀行が破綻したときもそうでしたし、今の欧米の状況も同様です。ポールソンの苦悩は世界中の金融当局者の苦悩です。

更に、新聞を読んでいると、悲しくなるくらい新聞記者は今何が起こっているのかを理解していないことに気づきます。何故、株価が下がってるのか、何故、日銀が流動性を供給しつづけなければならないのか、最悪の事態を避けるためには、金融機関の税による健全化が何より大事だ、と読者に訴求している記事は見かけることがありません。

この民主主義の現状で、各国首脳が集まっても、具体的な政策を声高に唱えるは、難しいことだと思います。

混乱はまだまだ続きそうです。落ちてくるナイフを掴もうとしないことです。


容疑者Xの献身 - 東野圭吾 - [本・映画]

海外出張の時に成田で買って、そのまま読まずに置いてあったのを思い出して週末に読みました。最近文庫化された直木賞作品です。湯川教授という物理学者が謎解きをする「ガリレオ先生」シリーズで、映画化もされているようですが、殺人を扱っている上に多少、常軌を逸した結末も手伝って、重い印象です。エラリー・クイーンのドルリー・レーンとテイストを同じくする悲劇、もっと言えば、桐野夏生のようなハードボイルドな社会派のニオイもします。

読者が知らない事実が謎解きに使われることは無いため、フェアなストーリー展開ですが、警察の捜査がナカナカすすまないことで、完全に犯人のペースでゆっくりと話が進みます。読者は普通、その本の残りのページ数で、結末までの時間を無意識に感じるものですが、「このままで、本当に話が終わるのか?」と心配するほど、残りのページが少なくなっても、解決が遠く感じられます。しかし、エンディングはきっちりと決まっています。この話を「恋愛小説」として捉えると、もしかすると物足りないかも知れませんが・・・。

アマゾンを調べると、なんと267人もの人が感想を投稿しています。人気作家なんですね。福山雅治が湯川教授役で映画化・TVドラマ化されているようですが、ちょっとイメージと違う感じです。そっちは見ないかな。

週末朝起きてから、ランチタイムまでに読める本です。是非、手にしてみてください。


nice!(0)  コメント(2) 
共通テーマ:日記・雑感

応急処置と自然治癒で十分か? [政治・社会]

米国の下院が、金融安定化法案を否決しました。与党である共和党に造反議員が続出したためです。このため、米国株は大暴落。今日の日本株も大きく下落しています。詳細はまだわかりませんが、事の重大さを十分に認識せずに、11月の総選挙に向けて、有権者へのアピールを狙った共和党議員が続出したのだろうと思われます。

以前にも書きましたが、宮沢総理がてこずった住専国会と似ています。また、毎週のように金融機関が破綻する状況も97年の日本の状況に似ています。しかし、二つの点で当時の日本と異なると考えられます。

一つは、日本の資本主義は米国の資本主義が派生して出来た「支店」のようなものですが、今回は本家本元の資本主義システムが異常をきたしているということです。市場には「神の見えざる手」があり、可能な限り規制緩和と自由競争が可能なシステムを構築し、後のことは市場に任せておくことが「健全」とされたモデル自体が間違っていた、という事実が突きつけられている点が異なります。

二つ目は、民主主義の限界を露呈したことです。金融安定化法案の採決をめぐり、議員の所へは、大反対のメール、ファックス、電話が相次ぎ、ウォールストリートでは反対のデモ行進が行われていました。選挙を前にした議員にとっては、金融機関の救済よりも、自分の議席の方がより重要なのは言うまでもありません。また、「ウォールストリートよりもメインストリート」、という判りやすいエキセントリックなフレーズは、日本よりもはるかに先進の「格差社会」の大衆心理に火をつけてしまったようです。

資本主義と民主主義、当たり前だと思っているシステム自体が機能不全を起こしているのですから応急処置は必要なのだと思います。安定化法案も恐らく、再度練られた上でもう一度議会が賛成しやすい形になって提出されるでしょう。不良債権が処理をされ、恐らくその過程で痛んだ銀行のバランスシートに対して公的資金が注入されるといった施策も取られると思います。

ただ、後は時間をかけて治癒を待つだけで元どおりになるかというと、そうでは無いと思われます。


nice!(0)  コメント(0) 

おくりびと [本・映画]

今週末は久しぶりに八ヶ岳に行くつもりだったのですが、土曜の朝起きたら余りにも東京が涼しいのと、長旅の疲れが少し出たのとで、今週はオヤスミしました。次に行けるのは10月18日の週末で、多分紅葉まさっかりです。

ゴロゴロしていても仕方ないので、映画鑑賞。「おくりびと」を見てきました。主役は本木雅弘。納棺師というプロフェッショナルを主人公にしたお話です。葬儀や死を扱う映画ではあるのですが、ユーモアにあふれ、特に前半は笑うところばかり。恐らく葬儀を題材と扱いながらも、テーマは生きている人の躓いたり転んだりの生き様を扱っているからだと思います。「タブー」という言葉がありますが、私は、あらゆる職業に常に差別がつきまとうと思います。今であれば、投資銀行や証券会社だってそうです。そういった差別を克服出来るのは理念でも道徳でもなく、その職業についている人がその仕事を通じて尊敬を勝ち取るしかないということを、明るく感動的なタッチで教えられました。

山崎努、凄いです、何やらせても。広末涼子、賛否はあると思いますが目立ちすぎず素敵な奥さんでした。脚本はあの「料理の達人」の放送作家だった小山薫堂氏なんですね。あちこちに印象的な食事のシーンが出てきます。是非一度ご覧下さい。損はしないと思います。

 

 


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:映画

ついに米国銀行破綻・・ [市場・運用]

週末まで耐え切れずにワシントン・ミューチュアルが破綻してしまいました。資産規模3000億ドル(30兆円)の大銀行の破綻です。ベア・スターンズに引き続き、JPモルガンがたった19億ドル(2000億円弱)でこの銀行の資産を買い取りました。恐らくかなりの割安です。

市場の噂から、いつかは、と思っていたので、この破綻自体は驚きではないのですが、週末まで持たなかったことが驚きです。破綻処理に対する政府のコントロールが失われつつあることの証左です。恐らく、情報が漏れ出して、大規模な取り付け騒ぎに発展する可能性があり、慌てて倒産させたのかもしれません。テレビやインターネットで、銀行の窓口に長蛇の列が出来ているシーンや暴動まがいのシーンが流れることを、嫌ったのだと思われます。

金融安定化法案についても、ブッシュ大統領が涙目になりながら必要性を訴えているにも関わらず、すんなりと議会を通りません。すでに議事日程は終了ですが、この週末の延長戦で何とか目鼻が立たないと、来週の月曜の世界のマーケットは、また違った風景になると思われます。今回は東京は休みではないので、プレッシャ-の最前線に再度立たされることになります。

ほとんどの市場関係者が経験したことのない状況が当分続きそうです。


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:

麻生総理 [政治・社会]

マーケット関係の話題が多くなり勝ちなこの頃ですが、余りこの話ばかりでも楽しくないので少し休憩。一つ言えるのは、不良資産買取機構を始めとする金融安定化法案が通ったとしても、まだまだ終わりじゃないということです。90年代の日本は整理回収機構に加えて銀行に直接公的資金を注入しました。米国もここまでするまでは、とても安心できる状態ではありません。 

麻生内閣が固まりました。郵政造反組は完全復活です。少子化大臣に小渕優子34歳に新味がある程度。暫定政権なので、閣僚の顔ぶれをとやかく言っても仕方ないので、特に「感想なし」です。 さて、麻生総理総裁ですが、麻生という人は個人的には余り好きではありません。自分の育ちが良いせいか、差別的な発言を行うことも多く、福田さんが好んだ、「大衆の目線」からは程遠い人です。

しかし、前任者二人よりは期待をしたいと思っています。 

判りやすさという意味では、「郵政民営化!」とか「美しい国日本!」といったキャッチフレーズを連呼する方が判りやすいのですが、実際の政治はもっと複雑です。竹下総理は「言語明瞭意味不明」と揶揄されながら、消費税という不人気だけれども日本にとって必要な政策に取り組みましたし、宮沢総理もマスコミの人気は今ひとつでしたがバブル後の難しい経済運営に取り組みました。 

ちっぽけな会社の社長ですら思うことの一つに、表も裏も無い、なんていうことは有り得ないということがあります。例えば、「従業員は大事だ」と理念では思いながら、会社やポジションに向いていない人、どう育成しても能力不足の人に最後どのように向き合うのか、業績を伸ばすことは大事だけれど、皆の仕事を増やしてしまう。その場合人的・インフラ面での恒常的な立ち遅れをどのようにごまかすのか、といった白でも黒でもない選択に常に追いまわされます。こういう気持ちが先立ったせいか、1年前に「社長就任おめでとうございます」と人から言われても、笑顔で返すことが出来ませんでした。決して照れ隠しをしていたわけではないのです。

自分の信念や理想を貫くことが出来ればある意味、「楽」です。誰だってお年よりは大事にしたいし、税金なんて上げたくない。しかし、何かの制度を作るとき、制度を変えるときは、そのことによってデメリットを受ける人が必ず出てくるはずです。そのデメリットを理解しながら、何かを成し遂げようとする時、誰しも歯切れが悪くならざるを得ないのだと思います。 

歯切れの悪いことを話す時、真っ当な人間であれば、苦渋の表情をしている筈です。3回目のチャレンジでやっと内閣総理大臣になった麻生さん、余り嬉しそうな顔してませんね。去年落選したときの方が余程明るい顔をしていました。今後彼が向き合わなければならない苦汁の選択の数々に、今からプレッシャーを感じている顔だと思います。個人的には好きな人ではありませんが、政治家としてはいいかもしれません。


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

ゴルフの師匠

秋分の日。20年前の部下に誘われコースに出ました。夏場は八ヶ岳にばかり行っていたせいで、ゴルフをサボっており、クラブの従業員に「お久しぶりですね」と散々言われました。この部下J君、は大学の体育会ゴルフ部の出身で、関東アマに出場するほどのプレーヤーです。新入社員で私の部下になったときに、私も誘われてゴルフを始めました。クラブ選びからスイングの基本を教えてもらった心の師匠です。

96年に日本に帰ってきてから10年ほどゴルフから遠ざかっていたのですが、少しまじめにやり直そうと思ってゴルフクラブのメンバーになったのがちょうど二年前。このコースはもともとJ君と彼ののお父さんがメンバーのコースです。この2年結構まじめにコースに通っている割に、思ったほど上達していません。もしかすると上達しないせいで、この夏は八ヶ岳に逃避して、クラブから遠ざかっていたのかもしれません(笑)。

J君と一緒に回り始めて3ホール目で、私のスイングの欠点を一つだけ指摘してくれました。その後は、その欠点を矯正することだけに専念してラウンドしたのですが、ドンピシャの指摘でした。右に飛び出して右に曲がる球筋が、18H目には綺麗に治っていました。(記録のために書いておくと、テイクバックの時に、手首をなるべく曲げずに、左手の甲を下に向けながら左手を捻るようにクラブを引くこと・・です)

ただ、自己流で一生懸命ゴルフをしていればいいということではないのですね。タイガーウッズにだってコーチがついているのですから。師匠は大切なものだと痛感しました。


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:スポーツ

これからの株式投資をどう考えるか [市場・運用]

世界的に株価の下落が止まりません。お金の流れが安全資産に向かっています。株から金へ、ドルから円へ、債券から現金へ・・。アメリカの短期金利が0.2%に下がっています。どこにリスクが潜んでいるのか判らず、誰を信じていいのか判らず、市場関係者が悲鳴を上げながら逃げ回っている状況です。

昨夜、米国株が4%下落し、アジアの市場も軒並み下落しています。PER、PBRといった指標で見るとかなり割安に見え、市場が健全な状態であるならば、個人投資家にとってはそろそろ買い始めても良い状況に見えます。7月の頭までは、「買い場が近い」というコメントを私も出していました

しかしここは、個人的には方針変更したいと思います。理由は二つです。

1.2002年からの上昇相場が完全終了
長期的な上昇相場が完全終わってしまったと思われます。チャートのどの指標を見ても下を向いています。相場ですから下げたら上げるというリバウンドはあると思いますが、一度上昇の終わった相場は3年程度低迷します。下落の始まりが去年でしたから、まだ1年半は低迷が続くと考えたほうがいいと思います。

2.市場の機能が壊れてしまった
株式も債券も、所詮は「紙」に書いてある金額です。これを売買するには、その紙に書いてあることが正確に履行されるという相互の信頼関係が必要です。AIGやリーマンやメリルが破綻する市場で、これからも誰がどこでどんなリスクを抱えていていつ破綻するか判らないという状況下で、この「信頼関係」がどこかに行ってしまいました。一度失われた信用の回復には、努力と時間が必要です。これは抜本的な政策発動などで、一朝一夕に回復するものではありません。

今起こっていることは、大恐慌と呼ばれた1932年の状況よりも悪いのかもしれません。自分の手元の流動性を大事にして、ある程度市場から距離を置いておく姿勢が必要です。日本のバブルがはじけた1990年にも、下落するたびに、「絶好の買い場!」と訳知り顔でお金を注ぎ込んでいる人達が結構いました。そうならないように、現金(円とは限りません)と収入を大切にしましょう。下落とリバウンドを繰り返しますから、腕に覚えのある人には面白い相場かもしれませんが。

2週間続いた出張生活もやっと終わりです。午後には日本に帰れます。愛犬に会えるのが楽しみ☆。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:

ポールソンの苦悩 [市場・運用]

香港3日目です。これだけの大嵐が吹き荒れているのに、経営幹部を全部集めて海外で会議が出来るというのは恵まれているような、申し訳ないような・・。

リーマンの次はAIGですか。保険契約者が世界中に7500万、従業員が130カ国で12万人いることを考えると、影響の深刻さは計り知れません。さらに、おそらくこちらのほうが短期的には深刻で、AIGはCDS(credit default swap)の本尊のような存在なので、もしも最悪の事態が起こると巨額のディリバティブが不渡りになり、連鎖がどこまで行くのかわかりません。当局も把握できていないような巨大な深遠な市場です。

日本にもアリコ、スター、エジソン、AIU・・と名だたる保険会社があります。そういえば、親会社の不振だけを理由にアリコは4-6月期に500億近い損失を出していました。アリコは代理店・直販チャネルはともかく、銀行窓販チャネルにも大きく頼るビジネスモデルだけに、巷間されている850億ドルのブリッジローンが成功したとしても、中長期的に業績には深刻な影響が残ると思われます。銀行員は少しもリスクのニオイのするものを嫌いますから。そういう意味では、世界中で展開している個人向けの保険販売は深刻なダメージを受けると思われるので、継続的に資産の切り売りをせざるを得ない状況に陥る可能性が大きいです。それぞれの現地で、まじめに経営している人たちには忸怩足る思いがあるでしょう。

証券に保険に次々と信用不安に陥る状況を見て、97年の日本を思い出しました。この感覚は香港に来ているほかの外人たちには実感として理解できないようです。うわさが広がり、株価が下がり、格付け会社がダメ押し・後追いの格下げを行う・・協栄生命、東邦生命、日産生命、三洋証券、山一證券、拓殖銀行・・毎週のように何かが起こった11年前の日本の状況そっくりです。都市銀行も11行から3行に集約されました。問題を表面化せずに8行破綻させたのと同じです。

唯一の処方箋は、当時の日本政府が行ったように、公的資金を投入して信用不安の連鎖を食い止めることだというのは、世界中の金融市場関係者には判っていることだと思います。しかし、米国当局は税金で私企業を救うことはモラルハザードの問題があるとして、リーマンを救済しませんでした。ベアスターンズ+JPモルガンには公的資金を入れたのに。

リーマンに関しては、従業員の平均年収が33万ドル・・といったニュースも流れ、議会でもそんな高給取りを救済するのか?といった感情的な質疑が行われています。これも、なんだかデジャブで・・。何年だったか忘れましたが、住専が次々と問題を起こしたときに、宮沢総理が「公的資金の導入を・」と言った瞬間に、マスコミから「高給取りの銀行員を救うために・・」といったきわめて近視眼的な批判が相次ぎ、世論も同調したことがありました、この一件で公的資金は禁じ手になってしまい、金融機関の連続破綻に繋がった訳です。ポールソンも、公的資金でリーマンを救うことが、経済学的には正解だと理解していても、その後に予想される感情的なバッシングで、更なる公的資金の投入という一手を塞がれてしまうことを懸念したのかも知れません。AIGを救済するためにリーマンを見送ったとも考えられます。

まだ本番はここでは無い、山はまだまだ先、ということかもしれません。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:マネー

リーマン破産申請 [市場・運用]

先週はNYで今日から香港。なんだか忙しい。ホテルにチェックインしてTVをつけたらCNBCで延々とリーマンの破産申請のレポートしています。

生まれて初めてNYに行ったのがトレーニーで当時のシェアソン・リーマンに行った時でした。1990年、もう18年前です。日本では、リーマンもゴールドマンもモルガン・スタンレーもメリルリンチも一緒くたにして「投資銀行」と呼びますが、リーマンやメリルリンチは当時から「ブローカー」と呼ばれていたと思います。事実、収益に占める投資銀行業務の比率は、比較的低かったことを記憶しています。

歴史がある一流のゴールドマンのような「投資銀行」と比較してリーマンやメリルのようなブローカー母体の会社の投資銀行部門には、なんとも言いにくい劣等感があって、いつか追いついてやる、というギラギラした感じの人が多く在籍していたのを覚えています。老舗のゴールドマンのような会社は、主要な優良企業を顧客としてすでに囲いこんでいるため、新規参入者が入りにくい閉鎖された市場です。

リーマンやメリルは、その後投資銀行業務に注力して今日に至るまで、売り上げを伸ばしてきました。ありとあらゆるものを「証券」にしてしまう証券化業務が拡大することに比例して、リーマンやメリルの投資銀行業務も拡大するのですが、やはり、新規参入者が獲得した市場はリスクの高い市場だったようです。住宅市場のバブル崩壊と信用収縮の過程で、この2社が立ち行かなくなってしまったようです。

もともとブローカーですから、投資銀行業務で優良な顧客を抑えているわけではなく、買収する側から見ても、食指が動きません。韓国の銀行などが、取りざたされましたが、結局、買い手が見つからず時間切れになってしまいました。メリルについては、バンク・オブ・アメリカが救済合併することになったと報道されています。リーマンよりは、客層も良く、リテール業務で強いのが魅力になたのだと思われます。

今夜の米国市場と明日の日本市場は大荒れが予想されます。今日は、日本は敬老の日ですが、中国も韓国も祝日で(中秋の名月の休みだそうです)欧州から市場が始まっていますが、ロンドン市場もかなり下げています。為替は世界的にドル安です。

3月11日のベアスタンズの救済あたりが今回の下落相場のターニングポイントになるかと思っていたのですが、少し楽観的すぎたようです。まだ終わった感じがしません。
nice!(0)  コメント(0) 

気骨の判決(新潮新書) [本・映画]

中学の歴史教科書で「大政翼賛会」なるものが戦時中あった、という記憶だけは残ってましたが、どういう経緯でどのように出来たのかはオボロゲな記憶でした。東条英機内閣が、反対勢力を封じ込め、議会を無力化することで、戦争を遂行するために、国会議員の80%を「推薦議員」と呼ばれる議員で占有する背景で、数々の選挙違反、妨害、脅迫などが行われていた実態を裁判を通じて明らかにし、国家に逆らう「違憲判決」を出した裁判官、吉田久に焦点を当てたノンフィクションです。
著者は清水聡氏というNHKの記者で、そのためか、小説にありがちな劇的なタッチでは書かれていない。どちらかというと、事実を積み重ねるアナリストのレポートのような筆致です。静かに、少しずつ内容に引き込まれていきます。そして事実だけが持つ重さ、感動を与えてくれます。こんなことが二度とあってはならない、と思わせる内容です。特に、マスコミと政治の距離感がおかしくなっている昨今、過去の悲劇をしっかりもう一度見つめなおす必要が今の日本にはあるのではないでしょうか。
nice!(0)  コメント(0) 

アイオワです [市場・運用]

出張でアイオワ州デモインに来ております。月曜の午後からNYに移動です。
こっちでアメリカの失業率の数字を知りました。6.1%。これは驚きです。ついこの前まで(2月まで)日本と同じ4%台だったから、あっという間に悪化している。消費が経済を支えている国での失業率の悪化は致命的とも言えます。インターネットバブルの崩壊から立ち直りかけた5年前の水準に戻ってしまいました。株価は一日前に急落していたせいか、無反応でしたけが、まだ終わっていない・・感じです。

株の下落は実態経済よりも需給にやられたのかも知れませんね。原油が下がったので、穴埋めで株を売ったヘッジファンドがあるやにうわさされています。原油も140ドル台から100ドルへ。いい感じに下落してますが、あと10-20ドルは下がって欲しい。実体経済のためには。そのあたりで、株価も底が見えるのではないかと思います。

先週、アメリカの不動産投資家と東京で話す機会がありました。彼の目には東京の不動産は今が買い時に見えるそうです。メガバンクがびびって融資を引き上げて不動産会社が次々と黒字倒産しているのは、とても良いチャンスだといっていました。そういう意味では、株もそろそろ長期の仕入れ時だと私は思うのですが。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:

福田総理総裁辞任、何だかおかしい [政治・社会]

8月は2週間お休みを頂いて、ホトンド八ヶ岳の山の中にいました。最高気温が25度になると、散歩の時にすれ違う人が、「今日は暑かったわねぇ」などと言う甘えた環境で、イヌとのんびりしておりました。9月、外資系は年度=暦年なので、9-11月の3ヶ月はにわかに忙しくなります。ブログの方もまじめに書こうかな、と思いました。(だって北京オリンピックのこと書いても仕方ないですから)

さて、一昨日、福田総理が臨時国会を前にして辞任しました。マスコミはまた、「無責任」だの「投げ出し」だのという当たり前の反応を示しておりますが、あの会見を見て「何だかおかしい」と思った人も多かったのでは無いでしょうか?

大学時代、大して勉強しませんでしたが、専攻は政治学でした。その頃多少身に付けた「疑ってかかる」というアプローチは社会に出てからも結構有効で、今度の件も一体何があったのか、整理して類推してみました。ここから先は仮説になるのですが、恐らく、こういう仕組みで福田総理は「辞めさせられた」のだと思います。

現在の衆議院は、自民と公明を合わせて3分の2の議席を持っています。自民単独では、3分の2に届きません。参議院が民主党と逆転している以上、この3分の2は貴重です。普通に考えれば、この優位を可能な限り長く続けること=来年の9月の任期ぎりぎりまで待って選挙を行うこと、が通常の戦術になります。

しかし、何故か、公明党が解散を急がせています。マスコミの説明では漠然と「来年の東京都議選と衆院選の間に十分な時間を置くため」という判らない説明がされています(これもかなり良心的な媒体で、この説明すらホトンドされていません)が、この意味を正確に視聴者・国民・有権者には説明がされていないと思います。

何故、東京都議選が公明党にとって大切かというと、宗教法人としての創価学会の許認可は国ではなく地方自治体、この場合東京都が持っているからです。都議選で常に与党に属していることが、学会にとっても党にとっても極めて優先度が高いのです。

この都議選を有利に運ぶために、近畿圏を始めとする学会員が、選挙の3ヶ月以上前までに、住民票を大量に東京都に動かすことは広く知られています(が報道されません)。今回の場合は告示日が6月24日(選挙は7月3日)で3月23日までに東京都民である必要があります。

住民票の異動に1-2ヶ月全体でかかるとして、年末年始に衆議院選挙を終わらせていないと、「間に合わない」という強い事情があるわけです。従って、福田政権のままで臨時国会に臨み、70日間の審議を行うと審議の終了が11月末で、どう工夫しても、福田総理総裁のもとで解散を行い、衆議院選挙に臨まなければならなくなります。

昨今の世論調査からは、この福田さんで解散を行うシナリオでは、かなりの高い確率で自公政権の「負け」が確定します。「福田総理では選挙は戦えない」というのはこういうことです。では、どうすればよいか?

昨年、安倍総理が突然辞任したあと、総裁選挙を延々と行い、マスコミに露出したことで、新政権への期待が盛り上がり、発足時の内閣支持率が50%を超えたことがあったと思います。同様の効果を求め、福田総理を退陣させて総裁選を盛り上げ、臨時国会に臨み、勢いと人気が落ちる前に解散総選挙、という策略が透けて見えます。この場合、総裁は実力者である必要はなく、人気者の方が良いわけで、大派閥からは候補が出ず、巷間されている、麻生氏や小池百合子氏の名前が挙がるのは所詮「ショー」だからだと考えられます。

TVのニュース番組を注意深く見ていると、読売系やNHKは「福田辞任」の話をまるで無かったことのように扱い、自民党総裁選に視聴者の視線と興味を変えています。かなり意図的に思われます。面白いことに、フジは「騙されては行けない」というトーンを出しています。

「郵政民営化法案」のヒトコトで自公に3分の2を有権者が渡してしまいました。今回は騙されないように、マスコミ・自民の反小沢キャンペーンを冷静に見る必要があると考えます。
nice!(0)  コメント(0) 

エンデュアランス号漂流記 [本・映画]

昔の仲間3人で食事に行った時に、私以外の二人が、この本を読んで感動した、といってひとしきり盛り上がっていました。何だか悔しいので、早速読んでみました。
「事実は小説より奇なり」という名言がありますが、まさにそれです。これがもしもフィクションだったら「そんな上手く行くはずが無いだろう」というぐらい奇跡的な生還劇です。
著者は探検隊の隊長自身(アーネスト・シャクルトン)。エンデュアランス号は、南極大陸探検への途上で浮氷に囲まれてスタックしてしまい、最後には氷圧に耐え切れず破壊され沈没してしまいます。見事なタイミングで船を見切り、不安定な浮氷の上にキャンプを張って流されるままに漂流し・・と話が続くのですが、常に氷点下の南氷洋で2年にも渡り漂流し、小船で果敢にも救助を求めて1000km以上の航海を行い、22名全員が最終的には救助されます。
シャクルトンは、その都度、極めて厳しい色々な選択を迫られるのですが、探検をあきらめた後は、22人全員を生還させるために考えられるベストの選択をしつづけます。隊員達の心と体の健康に最大限配慮しながら、冷静に希望を失わない態度はリーダーシップや使命感などという言葉が極めて軽く感じられます。
私も会社の撤退で、チームメンバーと4ヶ月間「漂流」をしたことがありましたが(笑)、命を取られるわけでも、お腹がすくわけでもないのに、不安にさいなまれたり、希望を失いかけたりしてましたので、シャクルトンの精神の100分の1でも。これからはマネ出来れば嬉しいなぉ、と思いました。あれだけのことを成し遂げたのに、著作自体は航海日誌のように淡々としていて、自己肥大しているところがありません。すんなりと心に染み込んでくる大冒険です。
nice!(0)  コメント(0) 

自分を演出すること [ビジネス]

年金運用関係の専門誌のイベントが梅田であり、協賛会社として参加しました。参加と言っても、ブースを一つ頂いて、合間にセミナー参加者に資料をお配りしたり名刺交換をしたりするだけのものなのですが。

セミナー会場でブースをレイアウトし、自分の会社の結構イケテルグッズを並べ、資料を準備してセミナー参加者が取りに来てくれるのをお待ちするのが当初の目的でした。しかし、イベントが半分過ぎても、サバケタ資料は当初準備したものの十分の一程度でした。イベント自体の仕切りが悪く、ブースと会場のレイアウトが悪いのも一因ですが、そんなことに文句を言っても仕方がありません。

私のこれまでのキャリアは、資産運用に直接携わるか、それに関連した企画関連の部署に居ることが多く、「営業」と名のつく仕事についたことがありませんでした。
ただ、今回は意を決して、資料とグッズの入った袋を抱えて「初めまして!」と会場の隅から隅まで手当たり次第名刺交換をして回りました。名刺交換を拒否する人も、資料の受け取りを断る人も一人もおらず、15分程度の休み時間の間に30枚近い名刺が手に入りました。もちろん、これから、「資料を読んでいただけましたか?」と1-2週間の間に電話をし、アポをいれプレゼンに伺い・・と新たなビジネスチャンスに繋がるわけです。

自分や会社をこちらから売り込んだり、始めまして!と積極的に名刺交換に行ったりするのは、何だか自分が自分で無いような心持が今でもしています。ただ、営業をしなければならない時は営業マンになりきる、自分がイメージする「成功する営業マン」になりきって演じてみる事で、向いているとか向いていないとかでは無い仕事も出来るのだなあ、と思いました。楽しかったです。



nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。